用語集

乳がん治療用語集:全摘・部分切除・・・乳がんの手術について

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もし、「あなたは乳がんです」と告げられたら……。
え、私、おっぱいを取るの!? 女性なら、まずそう思うでしょう。目の前が真っ暗になってしまうかもしれません。
けれど現在は、インフォームドコンセントが主流の時代。
患者である本人が医師の説明を受け、同意しなければ、どんな治療もできません。

ただでさえ気持ちが動転しているとき。それでも、乳房を温存できるのか、全摘手術や再建を受けるのか、人によっては妊娠出産をどうするのかまで考えなくてはなりません。

納得のいく治療を受けるには、まず医師や看護師とよくコミュニケーションを取り、自分にとって何が大事なのか考えることです。それには、手術や治療法について、あらかじめ知っておくことも大切です。

乳がんの手術を受けるうえで大切なものとは?

手術

乳がんの手術は、病巣である乳房に対する手術と、腋窩リンパ節に対する手術を同時に行います。

乳房全摘

乳がんの手術には、病巣とその周りを部分的に取り除く「乳房温存療法」と、胸の筋肉は残して乳房を全て切除する「全摘」があります。
女性にとって、乳房がなくなってしまうのは、想像しただけでもショックなことです。でも、全摘しなければ命に関わる場合も少なくないのです。

  • しこりが大きい
  • しこりが複数存在する
  • しこりは大きくないが、しこりにつながる乳管の中に広く進展している

このような場合は、乳房温存手術ではがんを完全に取り切れないため、乳房全切除(を行うのが基本です。また、乳頭・乳輪を残して全乳腺切除を行うこともあります。

乳がんの手術には「温存療法」と「全摘」があります。以前は、患者さんの約6割が温存療法を選択していました。でも、2013年7月より、がん患者を対象に、インプラントを用いた乳房再建に保険が適用されるようになったのです。
これまでは、インプラントを用いた乳房再建に関しては自費で行わなくてはならず、100万円以上かかっていました。しかし、保険が適用されるようになり、自己負担は約30万〜40万円で済むようになりました。

また、事前に手続きをし、高額療養費制度を使えば、病院の窓口ではさらに負担が軽減されます。
金銭的なハードルが下がったことから、現在では全摘手術を選ぶ人が約5割に増え、そのうち5分の3くらいの人が乳房再建を受けるようになってきています。
全摘手術で病巣を完全に取り切る決断をしやすくなったのですね。

部分切除(温存療法)

乳房温存療法は、美容的な問題に配慮しながら安全に治癒切除を行う手術です。基本的にはしこりの大きさが3cm以下の場合適応となります。
温存療法を行うかどうかは、がんの大きさと乳房全体とのバランスが基準になります。

しこりが小さい場合であれば、温存療法が第一選択となりやすいですが、美容的な問題からみて、温存手術をすると乳房の変形が強くなり左右の差が大きくなると想定されるようなときは、全摘して再建したほうが良いケースもあります。

MRI検査はがんの広がりを調べるために用いられます温存療法を行うためには、乳がんの広がりを正確に把握する必要があります。

がんの広がりを調べるため、乳房MRI検査や超音波検査が用いられることが多いようです。

腋窩リンパ節郭清

腋窩リンパ節郭清とは、リンパ節をその周囲の脂肪組織とともに一塊にして切除する手術です。
乳がんの手術をした後は、手術で取ったがんを病理検査します。採取した乳がんの組織を顕微鏡などで観察し、どのような状態であるのか診断するのです。
この診断によって手術以降の再発や転移を予防するための治療方針が決まります。

再発や転移を起こす危険性は、乳がんのしこりの範囲やその性質、そして腋の下のリンパ節に転移があるかどうかなどによって決まります。
そのため、乳房のしこりだけではなく腋のリンパ節を取るのですが、その方法のひとつに、この腋窩リンパ節郭清があります。

リンパ節の断面図腋窩リンパ節郭清とは、決まった範囲のリンパ節を周囲の脂肪と一緒に取る方法です。
手術の前から腋窩リンパ節に転移があることがわかっている場合は、腋窩リンパ節郭清が選択されます。

腋窩の再発を防ぐという目的のほか、腋窩リンパ節に転移があるかどうか、転移があれば何個のリンパ節に転移があったのかを調べる目的で行われます。
その理由は、腋窩のリンパ節の転移個数によって、将来、骨や肝臓、肺などへの遠隔転移が生じる確率が違うからなのです。
腋窩リンパ節の情報は、抗がん剤などの薬物療法を行うかどうかの選択において、非常に重要なものなのです。

センチネリンパ節生検

腋窩リンパ節への乳がんの転移の有無を調べるために行われるこの腋窩リンパ節郭清は、長らく乳がんの標準的な手術とされてきました。
でも、この方法は、結果的にリンパ節転移がなかった人には治療的な意味がなく、かえって腕のむくみなどの合併症の問題を引き起こしていました。

ところが近年、しこりのある乳房に色素やアイソトープ(放射性同位元素)を注射することによって、乳房のがんが最初にたどり着くリンパ節を同定することが可能になったのです。
このリンパ節のことをセンチネルリンパ節といいます。
「センチネル」とは「見張り役」という意味。つまり、がんの状況を見張ってくれるリンパ節、ということなのです。

手術前に腋窩リンパ節転移がなさそうだと診断されている場合、センチネルリンパ節生検が選択されます。
乳がんが腋の下のリンパ節に転移する際、最初にがんが流れ着くのが「センチネルリンパ節」なので、手術中にこのリンパ節を取ってがんが転移しているかどうかを調べます。

センチネルリンパ節に転移をしていなければ、それ以外のリンパ節に転移はないと判断できます。
センチネルリンパ節に転移がなければ郭清は行わず、転移があった場合は通常の腋窩リンパ節郭清を行います。

インフォームドコンセントの時代、乳がん治療もしっかり情報を得ておきましょう

センチネリンパ節生検は、腋窩リンパ節郭清に比べて手術後の後遺症が少ないため、現在では標準の手術方法になっています。

このように、乳がんの手術法は、乳房に対する手術と腋窩に対する手術を組み合わせて行います。
医師は、術式として、たとえば「乳房部分切除+センチネルリンパ節生検」や「乳房全切除+腋窩リンパ節郭清」など、その人の病状に合わせた複数の手術法を提示し、説明してくれます。

医師と話し合い、最終的な術式が決定されるので、予備知識を持っているほうが心強く、また病状や手術に対する理解が深まるでしょう。

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