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民間療法に頼りすぎるのはよくない!?~乳がん治療における民間療法のリスク

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みなさんは「民間療法」という言葉を聞いたことがありますか?
一般的に民間療法とは、医師や医療機関による治療ではなく、古くから民間で伝承されている療法・健康法のことをいいます。
その多くは経験則に基づいており、医学的根拠に乏しい療法も多く、人によって効果が出るものもあれば、まったく効果が出ないものもあります。
乳がんに関する民間療法もたくさんありますが、それらはどこまで効果的なのでしょうか?
民間療法に頼りすぎると、患者さんにとってリスクが高くなる場合もあります。
今回は、そんな民間療法についてご説明したいと思います。

民間療法とは?

民間療法と呼ばれるものは本当にバラエティ豊かで、外来に診察でいらっしゃる患者さんから聞くだけでも驚くばかりの様々なものがあります。
なかでも多いのは、食べ物と薬に関する民間療法だと思います。

民間療法①食べ物に関する俗説が多い

食べ物に関する民間療法は、大きく分けると、

・これを食べたら治る
・これを食べてはいけない

の2種類かと思います。患者さんから聞いたり、雑誌やインターネットの記事で読んだものでいうと、

これを食べたら治る

玄米を食べ続ける、1日○十本ものニンジンジュースを飲む、「この水を飲めば治る」と煽っている飲料水(もちろん怪しげなお水ですが……)

これを食べてはいけない

白米を食べてはいけない(そのため玄米を食べる)、四足動物を食べてはいけない、乳製品は食べない、などなど……

なかでも多いのは、この2つの説です。

「乳製品を摂ると乳がんになる」
「野菜を食べると乳がんにならない」

乳製品については、過去に乳製品が乳がん発症リスクに影響を及ぼす(リスクを高める、あるいはリスクを軽減する)といった報告もありましたが、結局は乳がんとの関連性は証明されていません。
また、野菜が体によいからといって、肉や魚などの動物性タンパク質をまったく摂らないという食事は、お勧めできません。これは乳がんとは関係なく不健康な食生活だといえます。
食事で最も大切なのは、肉・魚・野菜をバランスよく食べることです。食べ物に関する俗説にとらわれすぎると、反対にストレスを抱えてしまうこともありますので、注意してください。

民間療法②民間薬を使って肝機能障害に……

民間療法で用いられる薬のなかには、迷信として伝わっていて特に人体へ影響を及ぼさないものもあれば、肝機能障害を引き起こしてしまうものもあります。
過去には、民間療法で勧められたキノコの粉末を摂取しすぎたために、肝機能障害を起こして亡くなった方もいました。
まず、その薬が本当に効くのであれば、すでに認可を受け病院でも処方され、保険も適用される医薬品になっているのではないでしょうか。
民間療法と呼ばれるものの多くは保険適用外です。
もちろん、一般に出回っている健康ドリンクやサプリメントも含めて、民間療法で勧められるものを全て否定するわけではないのですが、何事も「摂取しすぎ」は問題です。
民間療法の薬にも規定量が書かれていると思いますが、その規定を無視して薬を過剰に摂取し、体に障害が出たケースも少なくありません。

悪徳ビジネスの存在

民間療法に関して最も怖いのは、患者さんが「民間療法だけで、乳がんが治る」と思い込み、それまで病院で受けていた治療を止めてしまうことです。
ただ、そう思い込んでしまう理由は分かります。検診や診察で乳がんと診断されると、次のように考えてしまう患者さんが多いのです。

・なぜ私が乳がんにならなければいけないの?
・自分が乳がんであると信じたくない!
・乳がんになったのは自分ではなく他の何かのせい
・手術や抗がん剤をしないで治るならそうしたい

患者さんがこのような気持ちになってしまうのは、無理もありません。乳がんの治療では、精神的なケアも大切になります。
特に手術後や既に転移再発している場合など、治療が長引けば長引くほど、その時行っている治療法に疑問を持つ患者さんもいます。
しかし問題なのは、そんな患者さんの気持ちにつけこむビジネスが存在しているということ。
民間療法のなかにも、少なからず悪徳ビジネスがあることもまた事実なのです。

たとえば、よく「これを飲んで、がんが消えた!」「飲めばがんに効く!」という宣伝文句を使って販売されているサプリメントを見かけます。
しかし、このような宣伝文句を鵜呑みにしないでください。過去には、次のような出来事があったのです。
とあるサプリメント業者さんから、「謝礼を払うので『このサプリメントが効く』『これを飲んだら乳がんが治った』と書いてほしい」と依頼されたことがありました。
もちろん、そのサプリメントが乳がんに効くという医学的根拠は全くなく、業者さんからの依頼は断りました。
ところがその後、このサプリメントは何の根拠もないまま「乳がんが治った!」という宣伝文句とともに販売され、今でも雑誌などの広告で見かけます。

乳がんが治らず、病院で受けている治療に疑問を持っている患者さんが、藁にもすがりたい気持ちで、このような悪徳ビジネスにのめり込んでしまうケースが後を絶ちません。
全ての民間療法が、悪徳ビジネスであるとは限りません。民間療法を試すことで、少しでも精神的に前向きになれるのであれば、構わないと思います。
しかし、決して民間療法を過信することのないように。そもそも本当に効果があるのであれば、その方法は保険適応で病院で提供される治療になっているはずです。患者さんの気持ちを食い物にしようとする業者もいることも、忘れないでください。

民間療法で心がけたい3つのポイント

民間療法を全て否定しようとは考えていません。
しかしながら、乳がんに対して最も効果があるのは、早期の検査、早期発見、早期治療です。
すでに乳がん治療を受けており、かつ民間療法も試しているという人には、ぜひ次の3つの点を心がけてほしいと思います。

・民間療法で飲んでいる薬を医師に伝える
・現在受けている乳がん治療を止めない
・民間療法を受けることで手術や治療を延期しない

民間療法で飲んでいる薬を医師に伝える

乳がんの治療には、つらい副作用を伴うことがあります。
ホルモン治療剤によって更年期障害のような症状が出たり、抗がん剤治療の副作用で髪が抜け落ちたり……それは女性にとって大変つらいものでしょう。
しかし乳がんの治療法は日々進化しており、それは薬についても同じです。副作用がつらいときは、その副作用を和らげる薬もあり、医師も患者さんの状態をみながらプランをたて、治療を行っています。
ただ、医師が処方したり投与する薬を、きちんと患者さんが飲んでいるかどうかは、医師は確認できません。こればかりは「患者さん次第」といえる部分なのです。
なかにはご自身の判断で、薬の服用をやめてしまう患者さんもいます。民間療法の薬を飲むために、病院から処方された薬を飲んでいないというケースもあります。

民間療法で用いられるもののひとつに、生薬(しょうやく)があります。
これは薬効があるもの(草花や野菜など)を精製することなく服用させる薬のことで、日本においては法律によって医薬品として扱われるものと、食品として扱われるものに分類されます。
そこで「生薬には副作用がない。いくら飲んでも大丈夫だ」という意見もあるのですが、まずどんなものであっても副作用がないものというものはありません。そして特に大量摂取は何か体の障害を引き起こす原因ともなります。
こうした生薬、民間療法の薬を服用し、精神的に前向きになることができるなら構いませんが、医師から処方された薬と併用するためには、必ず医師にどんな生薬を飲んでいるかを伝えてください。

現在受けている乳がん治療を止めない

民間療法にのめり込みすぎて、治療中なのに病院へ来なくなってしまう患者さんがいます。
乳がんの治療法は様々で、患者さんの状態に合わせてプランを考え、いろいろな治療法を組み合わせていきます。
しかし、治療中に病院へ行かなくなり、いざ乳がんが再発したときに困るのは患者さん自身なのです。「民間療法が効かなかったからって、通うのを止めた病院には行きづらい……」と思う患者さんも多く、すると結果的に患者さんは乳がんを治療する場所を失ってしまいます。
それだけは、絶対にあってはならないのです。

民間療法を受けることで治療や手術を延期しない

医師から「乳がんの手術を行う」と聞けば、きっと多くの患者さんが不安を抱えることでしょう。
おっぱいを失ってしまう、手術して乳がんが治るのか……そんな不安から、「手術を受けずに、民間療法で治せないのか」と考える患者さんがいます。
誰でも手術を受けるのは不安になるはずです。そこで医師としては、手術を延期している間に、がんが進行するリスクについて丁寧に説明します。
もし民間療法を試してみたいと思ったら、ぜひ専門医に相談してみてください。
あくまで手術は、患者さん本人が納得したうえで行うものその民間療法に関する相談を受けるのはもちろんのこと、経過を見ながら常に手術の時期について話し合い、納得したうえで治療や手術を受けていただきたいからです。

情報を集めすぎるのもよくない?

インターネットの発達により、今はパソコンで検索すると、様々な情報を得ることができます。
さらにスマートフォンが普及し、指1本で簡単に情報を調べることが可能になりました。
乳がんについて、あるいは民間療法に関する情報も、インターネット上でたくさん見られます。ただこれらの情報は玉石混合です。上位にあるからといって、よい治療であるとは限りません。
患者さんにとって、乳がんの情報を得ようとすることは当然です。不安から民間療法に関する情報を調べ、実践することも理解できます。
とはいえ、見つけた治療法が必ずしも自分自身に合っているわけではありません。
乳がんは様々な方法を組み合わせて、長い期間しっかりと治療していくものです。
氾濫している情報を集めすぎ、また鵜呑みにしすぎるのも、またリスクを高めてしまうことでもあります。

そこでまず、インターネット上で気になる情報を見つけたら、専門医に相談してみるのもひとつの方法でしょう。
情報を集めすぎ、医師に質問しすぎて反対に治療法について話し合うことができなくなったら意味はありませんが、自身が抱える疑問は解消してしかるべきです。
乳がんの治療について疑問や不安があれば、必ず医師に相談してください。しっかり納得した治療が受けられるよう、医師は患者さんをサポートします。

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