用語集

乳がん治療用語集:受診すべき乳腺科とセカンド・オピニオンについて

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もし、乳がんにかかってしまったら――
最初にしなくてはならないのが病院や医師選びです。
大学病院がいいのか? がんセンターがいいのか? それとも、個人病院でいいところを探すべきなのか?

初めてのことで、わからないことだらけ。しかも、がんであれば、不安でいっぱいになることでしょう。
乳がんとの付き合いは、5年、10年と長くなることが多いです。
だからこそ、納得した治療が受けられ、信頼できる病院・医師にかかりたいものです。

乳がんに関する受診は乳腺科で

 

乳がんでは、何科を受診すればいいの?

もしも、シコリがあったり、乳首から赤色や茶色の液体が出るような自覚症状があった場合は、すぐに病院で診察してもらいましょう。
受診する科は「乳腺科」「乳腺外科」です。

以前は、乳がんの治療は、そのほかのがんと同様に一般外科で行っていました。
しかし、現在では、「乳腺科」「乳腺外科」で行われるのが一般的です。

外来での診断から手術、手術後の補助療法と経過観察、再発した場合には再発治療をすべて一貫して行えるのは「乳腺科」「乳腺外科」なのです。
産婦人科で乳がん検診の触診を行っている場合もありますが、産婦人科では実際の診察や治療は行いません。
必ず「乳腺科」「乳腺外科」を受診するようにしましょう。

乳腺科・乳腺外科とは?

また、いきなり大学病院に行くのは避けたほうがよいでしょう。
乳がんに限らず、体に何か不調を感じた場合は、まず地域にある診療所やクリニックを受診し、必要があれば紹介状をもらい、大学病院へ行くという形が望ましいのです。

患者さんがひとつの病院に集中してしまうと、1人の患者さんに対して丁寧な診療を行える時間が短くなります。
また、大学病院でしか治療を受けられない病状の患者さんの妨げになってしまう恐れもあります。
そのようなことがないようにするのが病診連携です。この医療連携制度をうまく活用して受診しましょう。

セカンド・オピニオン

「セカンド・オピニオン」とは『第二の意見』という意味で、ある医師から下された診断や治療方針について別の医師に意見を聞くことです。
欧米では当たり前に行われており、セカンド・オピニオンは患者さんの当然の権利でもあります。

「この診断で果たして正しいのだろうか?」
「絶対にこの治療法しか残っていないのだろうか?」
「もっと自分の希望や考えを伝え、納得して治療を受けたい」

など、治療を受ける上で考えることは当たり前です。命がかかっているのですから。

それにも関わらず、セカンド・オピニオンが日本でまだ十分に広がっていないのは、「他の先生に意見を求めるのは、主治医を信頼していないようで申し訳ない」という、日本人特有の遠慮の気持ちが原因のひとつとしてあるのかもしれません。

確かに、主治医との関係が悪くなるのは不安ですよね。
でも、それを心配するあまり、セカンド・オピニオンを聞きたい気持ちがあるのに言いだせないまま治療をスタートさせるのはよくありません。

セカンド・オピニオンとは?

納得しないままの治療では、お互いの信頼関係がしっかりと確立されませんし、不安や疑問を抱えた状態では、積極的に治療を受けることができないでしょう。
何かあるたびに「これで本当に良かったのだろうか?」と思ってしまうようでは、精神的にも良くない影響を及ぼすことになります。

セカンド・オピニオンは、あくまで担当医以外の医師に意見を求めるためのもので、「病院を変わること」ではありません。
担当医の診断結果や治療方針に納得がいかない時や、複数の医師の意見を聞いて治療内容を検討したい時、別の医師の意見を聞きに行くことができます。

ドクターショッピング

気をつけたいのは「ドクターショッピング」にならないようにすることです。

「ドクターショッピング」とは、自分が希望する答えをくれる医師に出会うまで、いろいろなところに足を運ぶことをいいます。
「自分はAがとても良いと思うけれど、みんなはBが良いと言う」という時、「Aが良い」と言ってくれるまで探し続けるような状態です。

このようなケースでは、「Aが良い」と言ってもらいたいあまり、医師ではない人の同調を求めることさえあります。

でも、乳がんの状態は千差万別です。
もしもAがその人にとって間違った治療法だったら、有効な治療を受ける機会を逃してしまうことになります。
また、治療が遅れて深刻な事態になってしまうかもしれません。
自分の希望を治療内容に取り入れることは大切ですが、最優先するべきはその人自身の命なのですから。

ドクター・ショッピングとは?

セカンド・オピニオンを受けることは大切ですが、何が最良なのか、冷静に判断することが大切です。
そして、わからないこと、疑問に感じたことがあれば遠慮なく主治医に相談しましょう。

乳がんに限りませんが、自分が受けている治療がどのようなもので、治療を受けることでどのような効果が期待できるのか、メリットとデメリットをしっかりと把握、納得したうえで治療に臨むことが重要です。

インフォームド・コンセント

インフォームド・コンセントとは?

インフォームド・コンセントとは「説明を受け納得したうえでの同意」という意味です。

医師が、かかった病気について、あるいは現在の状態、検査や治療の内容、処方される薬について十分な説明をし、患者さんはその内容をよく理解・納得した上で同意して治療を受けるということです。薬剤師から薬を受けとる時も同様です。
検査や治療、薬の必要性や効果が理解できていないと、自己判断で治療や薬の服用を途中でやめてしまうなど、効果が出にくくなってしまうケースがあります。

インフォームド・コンセント

それなのに、もし担当医が「患者さんは医師の指示に従っていればよい」「細かい説明に時間を費やしては、他の患者さんの治療に影響するので質問は手短にしてほしい」などと考える医師であったら、力を合わせて前向きな治療が続けられるでしょうか?

乳がん治療は、ただでさえ心身に負担がかかるものです。
セカンド・オピニオンやインフォームド・コンセントの意義、患者さんの気持ちを尊重できる医師選びも治療の一環であるといっても大袈裟ではないでしょう。

インフォームド・コンセントの効果

インフォームド・コンセントを受けることで、担当医師や薬剤師とのコミュニケーションが活発になり、信頼関係が高まる効果があります。
また、自分自身が治療や薬の必要性を理解することによって、より積極的に治療に参加できるようになります。
医師の考えを理解し、自分自身も意見を言うことで不安感が少なくなり、結果として治療効果を高めることも期待できるのです。

医師に任せっぱなしにするのではなく、患者さん自身の姿勢や理解が非常に重要なのです。
担当医と十分話し合うことによって、前向きな姿勢になることができます。

インフォームド・チョイスとインフォームド・ディシジョン

「インフォームド・チョイス」は、「説明を受けたうえでの選択」という意味です。

たとえば、手術と化学療法で予後に大差がないと考えられるなど、治療方法が選択可能な場合、医師から十分な説明を受けたり、情報を集めたりしたうえで治療方法を選択するということです。
さらに、その選択した方法で実際に医療を受けるか否かを自己決定することを「インフォームド・ディシジョン」といいます。

現代では患者さん主体の医療が求められています。
その中で、インフォームド・チョイス、インフォームド・ディシジョンの重要性は増しています。

治療に臨む理想の姿勢とは?

医師、薬剤師に任せっぱなしにしない

医療の主人公は自分自身です。治療に積極的に参加しましょう。

病状や薬に積極的に関心を持つ

自分の病状や薬に関心を持つことが大切です。
医師や薬剤師から受けた説明の内容を理解するためには、情報収集するなど自分自身の努力も必要です。

今は書籍でもインターネットでも簡単に情報を得ることができます。
知識を持ち、自分のかかった病気や病状について理解を深めることが大切です。

理解できるまで説明を求める

質問することは恥ずかしいことではありません。
わからない言葉や内容があれば、わかるまで説明を求めましょう。

担当医と話すとき、メモを取っておくと、記録になるだけでなく、読み返すことで理解を深めることもできます。

納得いくまで医師から説明してもらいましょうまた、治療方針など重要な決定をしなくてはならない時は、担当医に承諾をとって説明内容を録音させてもらう手もあります。

わからないことは、できるだけその場で質問するのがベストですが、動揺して理解できなかったり、後から疑問が湧いてきたりすることもあります。

そんな時、録音データが助けになります。また、家族に説明するときにも役立ちますよ。

患者さん4つのモデル

理想的な医療は、専門家である医療者から患者に対して一方通行的に施されるものでなく、医療者と患者の共同作業です。
それを実現するためには、医師と患者間の十分なコミュニケーションの結果の「信頼感」が不可欠です。

しかし、医師も人間ですから、相性もあるでしょう。
とはいえ、できる限りその患者さんとコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことが大切です。

医師とのコミュニケーション

患者さんは十人十色。医師には、医療のプロとして、その患者さんに必要な情報を適切に提供できるコミュニケーション力と話術が求められるのです。
そこで、1991年、アメリカ医師会の雑誌に、「患者と医師の関係 4つのパターン」という論文が発表されたそうです。
これによると、医師から見た患者のタイプは4つに分類できると報告されています。
患者の立場からも、知っておくとよいでしょう。

情報型

  • 患者の価値観:固定、明確
  • 医師の義務:関連情報をすべて提示し、患者の選択した治療を実行すること
  • 患者の自主性:選択、制御
  • 医師の役割:知識・技術提供者

このタイプの人は、インターネットや書籍などから、できる限りの情報を集めて必要なものを取捨選択し、判断材料とする患者さんです。
医師に専門家としての知識と情報を求めます。

解釈型

  • 患者の価値観:未熟、軟弱
  • 医師の義務:患者の意志決定のプロセスに必要な情報を随時提供し、最適な治療を提案し実行すること
  • 患者の自主性:自己学習
  • 医師の役割:カウンセラー、助言者

自分では問題を具体化できず、結論が出せないタイプで、医師に導かれて答えを探していきます。
医師にはカウンセラーのような役回りを求め、明確な治療方針をわかりやすく説明してくれることを期待する患者さんです。

審議型

  • 患者の価値観:柔軟、可変
  • 医師の義務:複数の選択肢の中から適切なものを説明し実行すること
  • 患者の自主性:納得
  • 医師の役割:友人、教師

具体的な解決策を自分なりにいろいろと考えますが、最終結論に至ることができないタイプです。
医師には、友だちのような感じで、同じ目線で議論することによって答えを求めます。
医師から一方的に説明されるのではなく、話し合って結論を出したい患者さんです。

父権型

  • 患者の価値観:謙虚、慎遠
  • 医師の義務:患者の意向に関わらず、医師の信じる最善の治療を実行すること
  • 患者の自主性:従属
  • 医師の役割:保護者

説明され自分自身で理解するよりも、「これが正しい」と断言して引っ張ってもらいたいタイプです。
このタイプの患者さんは、医師にいろいろな情報を提供されたり、選択肢を提示されたりしても混乱するだけです。
医師には、厳格な父親のような役回りを求め、結論と自分がどうすべきかだけを提示してほしいと考えています。

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