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男性も乳がんになります~男性乳がんに関する誤解・伝えておきたい本当のこと

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乳がんといえば、女性特有の病気と思われがちですが、男性もなる病気であることをご存知でしょうか?

テレビや雑誌などで乳がんに関する特集が組まれる際、内容は女性を対象としたものが多く、なかなか男性が乳がんに関心を寄せることは少ないでしょう。そのため、自分自身が乳がんになるリスクを考えている男性は、ほとんどいないかもしれません。
しかし最近では、乳がんに関する講演会でも、女性だけでなく男性が乳がんになるリスクについても説明するケースが増えています。

ご自身が男であるからといって、乳がんになることはないと安心するのは禁物です。
今回は、そんな男性と乳がんの関係についてご説明します。

男性乳がんの患者数と誤った情報

男女の部位別がん患者数ランキング

乳がんが女性特有の病気だと思われがちな理由のひとつに、男女の乳がん患者数に圧倒的な差があることが挙げられるでしょう。
まず男女の部位別がん患者数ランキング(2012年時点)を見てください。

男性
1位 胃がん
2位 大腸がん
3位 肺がん
4位 前立腺がん
5位 肝臓がん

女性
1位 乳がん
2位 大腸がん
3位 胃がん
4位 肺がん
5位 子宮がん

さらに男性の部位別がん死亡者数ランキングを見てみると……

1位 肺がん
2位 胃がん
3位 大腸がん
4位 肝臓がん
5位 前立腺がん

このように、女性のがん患者数ランキングでは乳がんが1位であるのに対して、男性のランキングでは患者数・死亡者数ともに、乳がんは上位に入っていません。
統計的に見ると男性の乳がん患者数は、女性の乳がん患者100~150人に対し1人……がん患者数全体のうち男性は0.8%ほどと、圧倒的に低いという調査結果もあります。

確かに女性と比べて、男性乳がんの患者数は圧倒的に少ないわけですが、それでも実際に男性乳がんの患者さんがいることは事実です。男性も他のがんと同じく、乳がんに関する知識を持っておいてもらいたいと思います。

乳房が小さいから乳がんにならない、はウソ

よく乳腺科の外来を受診される女性のなかに、「私はおっぱいが小さいから乳がんにはならない」というようなことを言う方がいますが、その情報は間違っています。
まず乳がんになりやすいかどうかは、乳房の大小で決まるわけではありません。
乳房のなかの乳腺組織そのものが多い場合(デンプレスト=高濃度乳腺)は、乳がんの発症率が高くなる可能性が指摘されていますが、乳腺組織の量は乳房のサイズに比例しているわけではないのです。

同じように、男性は乳がんにはならない、というイメージを持っている方も少なくないようです。もちろん、そのイメージも間違いです。
それは、男性にも乳腺があるからです。

男性乳がんで注意しておきたい3つのポイント

まず男性乳がんについて注意しておきたいのは、次の3点です。

  • 女性だけでなく男性も乳がんになる理由は……
  • 男性乳がんは「予後不良」になりがち?
  • 乳房にシコリがあっても乳がんではない?

男性も乳がんになる理由は……

乳がんは女性だけでなく、男性もなる病気です。
それは、男性の乳房は女性よりも小さく、膨らみもありませんが、少量ではあるものの男性にも乳腺が存在するからです。

乳房は「乳腺」「脂肪組織」「血管」「神経」などからできています。
このうち「乳腺」は母乳を作るための組織である「小葉」と、母乳を運ぶための管である「乳管」から成り立っています。
この乳腺にできるがんを、乳がんといいます。男性にもこの乳腺があるため、乳がんにかかるリスクがあるのです。

男性乳がんは「予後不良」になりがち?

男性乳がんの場合、女性が乳がんになった場合より「予後不良」になりがちというデータがあることにも注意しておかなくてはいけません。
「予後不良」とは、病気の治療後の経過、あるいはその後の見通しがよくないことをいいます。つまり、男性が乳がんを発症すると、がんの進行が抑えにくくなったり、再発する可能性が高くなるかもしれない、ということです。

それはなぜでしょうか?
乳がんで最も大切なのは「早期検査」「早期発見」「早期治療」ですが、男性の場合はなかなか乳がんが発症していることに気づきにくく、早期発見が難しくなります。
そのため、発見された時点ですでに乳がんが進行しており、早期治療も行えなくなってしまう可能性がある、という点が男性乳がんの怖いところといえるでしょう。

乳房にシコリがあっても乳がんではない?

セルフチェックで、乳房にシコリ=固くコリコリとしたものがあると、乳がんを疑うのは女性も男性も同じです。

ところが、乳房にシコリがあるということで乳腺科を受診した男性の9割以上は、乳がんではなく「女性化乳房症」であるという統計データもあります。
この女性化乳房症は、しばらく放っておくと、半年から1年で症状はなくなります。

とはいえ、本当に乳がんと診断されている男性もいますので、決して診察を受けなくてもよいというわけではありません。
乳房にシコリがあった場合は、ぜひ乳腺科を受診してください。

男性乳がんと間違われやすい「女性化乳房症」とは?

乳房にシコリを感じ、乳がんを疑って乳腺科を受診する男性の9割は、乳がんではなく「女性化乳房症」であるといわれています。
この女性化乳房症とは、一体どんな症状なのでしょうか?

  • 乳腺が腫れてシコリができる
  • 思春期と更年期に発症しやすい

乳腺が腫れてシコリができる

女性化乳房とは、男性の乳房が女性のように膨らむ症状をいいます。
その際、乳房が腫れてシコリができる症状を「女性化乳房症」といいますが、これは乳がんではありません。

乳がんを疑い、乳腺科を受診された男性の多くは、「乳房のしたいコリコリとしたシコリがあって、服が乳首に触れると痛い」と言われます。
もちろん痛みがあるから乳がんではない、痛みがないから乳がんである、ということは一概には言えません。男性でも乳房に痛みを感じたとき、シコリがある場合には、乳腺科を受診したほうがよいでしょう。

思春期と更年期に発症しやすい

女性化乳房症にはホルモンバランスが影響しています。
症状が出ているのは、ホルモンバランスが変動する(※ホルモンのバランスが悪くなる、ということではありません)思春期(第二次性徴期=男子だと12~14歳ごろから始まることが多い)、もしくは更年期(男性では60~70歳)の人が多いといわれています。
もちろん、ホルモンバランスの影響からか、それ以外の年齢の男性でも女性化乳房症の症状が出ている人もいます。気になることがあれば、医師に相談してみてください。

男性乳がんの診断・手術・治療は?

男性の乳がんでも、診断・手術・治療の流れは、基本的に女性の場合と同じです。
ただ、男性の場合は次のような不安を抱えるケースがあるようです。

  • 乳房にシコリがあったら何科を受診?
  • 男性ということで受診しづらかったら……
  • マンモグラフィは男性も撮影できる?

乳房にシコリがあったら何科を受診?

男性で乳房にシコリがあった場合、痛みがないと乳がん、痛みがあると女性化乳房症を疑う、という説明を見かけることもありますが、必ずしもそうとは限りません。

先にご説明したとおり、乳房にまつわる痛みの原因の多くはホルモンバランスの変動であり、痛みがあっても乳がんの場合がありますし、痛みがなくても女性化乳房症である可能性があります。
そこでまずは、乳房にシコリがあったら、乳腺科に行ってみましょう。
日本乳癌学会のホームページには「乳腺専門医一覧」が掲載されており、受診する際の参考にしてください。
乳腺専門医とは、乳腺に関するプロ中のプロです。プロが診れば、男性乳がんと女性化乳房症の違いはすぐにわかります。

男性ということで受診しづらければ……

乳がんの患者さんは、ほとんどが女性のため、男性だと「乳腺科に行きにくい……」という方もいます。
そういった場合はどうすればよいのか。以前、とある男性の患者さんから次のようなお話を聞きました。
奥さまと一緒に乳腺科に行き、自身は奥さまの付き添いとして来ているかのように、乳腺科の待合室で呼ばれるのを待っている、ということです。
これはとても良いアイディアではないでしょうか。
もちろん男性のみで受診されても、何も問題ありません。待合室などに居づらい場合は受付や看護師に相談してください。

マンモグラフィは男性も撮影できる?

よく女性から「私は胸が小さいから、マンモグラフィは撮れない」という声を聞きますが、それは誤解です。
マンモグラフィとは乳房専用のレントゲン装置で、乳房を圧迫板で挟み撮影しますが、それは撮影箇所に圧をかけて伸ばさないとうまく写らないためです。乳房の大小は関係ありません。「乳房が小さいから乳がんにならない」と同じような誤解なのです。

それは男性の乳房にも、同じことが言えます。
男性の場合は、乳房に脂肪がないので、肋骨の形の問題で撮影が難しいケースはありますが、乳房のサイズは関係ありません。男女問わず、どんなサイズでもマンモグラフィの機械に胸を挟んで撮影することはできるのです。

乳がんは、女性と比べると患者数は圧倒的に少ないものの、男性もなる可能性のある病気です。転移・再発すると治らない、という点も女性の場合と同じです。

自身が男性であっても「乳がんは女性の病気」と考えず、一度セルフチェックを行ってみてください。また、女性もパートナーの男性にセルフチェックを勧めてみてください。
乳がんにとって「早期検査」「早期発見」「早期治療」が重要であることに、性別は関係ないのですから。

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