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乳がん治療や豊胸術でインプラントを挿入した場合のリスクとは?

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テレビでよく、美容整形に関する特集番組やCMを目にしませんか?
美容整形を施す代表的な部位といえば、顔(頭部)と胸ですが、なかでも豊胸手術を受けた患者さんに関して、注目すべき発表がありました。
それは、豊胸手術を受けると、リンパ腫が発生する可能性があるということです。
一体なぜ、豊胸手術からリンパ腫が発生するのでしょうか? そして、乳がんとの関係は?

乳がん 豊胸手術 関係

豊胸術と乳がんの関係

豊胸手術とは乳房を大きくする手術のことを言います。
乳がんを発症した場合、手術で乳房を切除した後に乳房を再建するケースがありますが(乳房再建術)、どちらも「インプラント」と呼ばれる人工材料を挿入する方法があります。

インプラントの種類としては、主に以下のものが挙げられます。

  • シリコン
  • 生理食塩水

2011年1月26日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、生理食塩水バッグやシリコン・ゲル・バッグを用いた豊胸手術、もしくは乳房再建手術を受けた患者に、「ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)」が発生する可能性があると発表しています。

つまり、乳がんからリンパ腫を発症する可能性がある、ということなのです。

ブレスト・インプラント関連未分化大細胞リンパ腫(BIA-ALCL)とは?

ブレスト・インプラント関連未分化大細胞リンパ腫(BIA-ALCL=Breast Implant Anaplastic Large Cell Lymphoma)は、インプラントの周囲に「漿液」と呼ばれ利液体が溜まり、腫れる(漿液腫)ことから始まる病気です。
この漿液腫が続くためにインプラント交換手術を行う際の検査で、BIA-ALCLが発見されるケースが多いようです。

BIA-ALCLは非常にまれな疾患で、罹患率はインプラント挿入症例10万例あたりで年間0.1~0.3件の割合だと推定されています。
ただし、症例数が少ないため、この発症率が正確なものとは言えませんが、少なくとも乳癌再建術でのインプラント挿入が、BIA-ALCLを発症させる可能性がある、ということは言えるわけです。

乳房再建術=インプラントを挿入した場合どうすればいい?

このBIA-ALCLへの対応について、FDAが発表した主な内容は、以下のとおりです。

  • インプラント手術を受ける場合はBIA-ALCLの可能性を説明する
  • インプラントを挿入した患者さんには定期的に自己検査を行ってもらう
  • 術後1年以上経ってからインプラントの周囲に漿液腫が見られた場合はBIA-ALCLの可能性を考慮する
  • BIA-ALCLが疑われた患者さんには専門医による検査・診断を行う
  • BIA-ALCLと診断された場合にはケアチームによる治療計画を作成する

インプラント手術を受ける場合はBIA-ALCLの可能性を説明する

乳がん インプラント手術 説明

乳がんの手術には「乳房全摘」と「部分切除(温存手術)」の2種類がありますが、インプラントによる乳房再建は、乳房全摘を受けた人が対象です。

乳がんの治療方法については、病院や医師が患者さんとよく話し合い、納得したうえで決めなければいけません。
その際、乳房全摘からインプラントによる乳房再建を行う場合は、このBIA-ALCLが発生するリスクも説明しておく必要があります。

インプラントを挿入した患者さんには定期的に自己検査を行ってもらう

インプラント挿入がBIA-ALCLを発生させるリスクについてご説明しましたが、かといってFDAはBIA-ALCL予防のためにインプラントを抜くことは推奨していません。

患者さんは、乳房再建術でインプラントを挿入した場合、術後にしこりや腫れが起きていないかセルフチェックを行ってください。
そして、何か異常を感じたらすぐに専門医の診察を受けましょう。

乳房のセルフチェックについては、こちらの記事もお読みください。
定期検診とともに週刊を~乳がんセルフチェックの方法とポイント

さらに術後は、定期的に診察を受けることが望ましいです。
また、病院側もインプラントを挿入した患者さんに対しては、術後も引き続きケアとサポートを行っていく必要があります。

術後1年以上経ってからインプラントの周囲に漿液腫が見られた場合はBIA-ALCLの可能性を考慮する

BIA-ALCLにおいて最も多く見られるのは、インプラントを挿入してから1年以上経って、インプラントの周囲に漿液腫を発症するケースです。

ただし、同様に術後しばらく経ってから見られる症状(遅発性症状)には、疼痛、腫瘤、腫脹、非対称性、潰瘍といったものがあります。

BIA-ALCLに限らず、術後に何か異常を発見した際は、すぐに手術を受けた医療機関にご相談ください。

BIA-ALCLが疑われた患者さんには専門医による検査・診断を行う

BIA-ALCLが疑われた患者さんに対しては、専門医が検査・診断を行います。その流れは主に次のとおりです。

  1.  BIA-ALCLの検査を行う:MRI、PET/CT
  2. 液体貯留 → エコー下穿刺・細胞診
    腫瘤 → 生検
  3. 病理診断 → BIA-ALCLの診断確定もしくは疑いがあった場合、全身検索へ

「病理診断」「細胞診」「生検」について詳しくはこちら
病理診断「細胞診」「組織診」って何?

BIA-ALCLと診断された場合にはケアチームによる治療計画を作成する

BIA-ALCLは非常に稀な症例であるため、これといった治療レジメン(がん治療における治療計画書)は存在しません。

そのため、BIA-ALCLが疑われた患者さんに対して個々のケアチームが治療計画を作成します。
この際、ケアチームの構成は形成外科、乳腺外科、病理、血液・腫瘍内科など、様々な専門医を集め、患者さんの症状に合わせた治療計画を立てることになります。

BIA-ALCLも早期発見・早期治療を

乳がんの治療にとって、乳房再建術は欠かせないものです。
しかし、乳房再建術や豊胸手術でインプラントを挿入した場合のリスク――BIA-ALCLというリンパ腫が発生するリスクがあることをご説明してきました。

乳がん 豊胸 インプラント

乳がんは「早期発見」「早期治療」が大切です。
同じように、BIA-ALCLも早期発見・早期治療が望まれます。

BIA-ALCLは治癒できない病気ではありません。現在は検査機器、治療方法も進化しています。

FDAの発表によれば、BIA-ALCLを発症しても、そのほとんどは局所治療で治癒できるとされています。
局所治療とは、インプラントとその周囲の組織を切除する手術を指します。

ただし、発見が遅いと化学療法や放射線治療といった他の治療も追加で必要になる場合があります。
また、治療開始が遅れてしまったために患者さんが命を落としてしまった症例も報告されていますので、注意が必要です。

もし乳がんの手術後、乳房に異常を感じた場合は、そのまま放っておくことなく、すぐに専門医へご相談ください。

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