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乳がん治療が心臓や血管の疾患を引き起こしてしまう可能性がある!?

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乳がんは早期発見・早期治療によって、90パーセントは治癒できます。
しかし、乳がんの治療によって他の病気を引き起こしたり、他の部位に悪い影響を及ぼしてしまうとしたら……。

アメリカ心臓協会(AHA)は、HER-2標的治療をはじめとして、いくつかの乳がん治療が、心臓に疾患を持つ患者さんの心臓に対して影響を与える、という内容を発表しています。

乳がんを克服するためにも、また乳がん治療の影響によるリスクを下げるためにも、この「乳がん治療が心臓に疾患を持つ患者さんの心臓に対して影響を与える」ことの仕組みを理解しておいてください。

乳がん 心臓 影響

乳がん治療の3本柱

乳がんの治療法には、3つの大きな柱があります。

  • 手術
  • 薬物療法
  • 放射線治療

乳がんの治療は、しこりの性質や進行度によって、これらの治療法を組み合わせて行われます。
この3つの治療法のうち、「薬物療法」は以下の3つに大別されます。

  • 抗がん剤治療(化学療法)
  • ホルモン治療
  • 分子標的治療

そして、この中でいくつかの化学療法と分子標的治療薬が、心疾患の高いリスクを持つ患者さんの心臓に対し、有害である可能性が考えられるというものです。
そもそも化学療法(抗がん剤治療)、そして分子標的治療とは、どういった治療なのでしょうか?

化学療法(抗がん剤治療)

がん治療における「化学療法」とは、一般的に抗がん剤治療を指すことが多いでしょう。
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抗がん剤治療とは、化学療法剤でがん細胞を死滅させる「薬物療法」です。

抗がん剤治療、化学療法は、がんの再発・転移の予防のため、または再発・転移した際の治療として用いられます。

がん治療で最も注意しなければいけないのは、再発と転移。それは乳がんも同様です。
がんは再発転移を起こしてしまった場合、完治することは非常に難しいと現在のところ考えられています。
そこで、がんの再発を防ぐために抗がん剤治療を行ったり、再発・転移が起こった場合の治療法として化学療法が用いられたりするわけです。

分子標的治療

分子標的治療とは、がん細胞が持っている特定の分子(遺伝子やタンパク質)をターゲットとして、その箇所だけに作用する薬を用いる治療法です。
代表的な分子標的治療薬としては、HER2(ハーツ-)陽性乳がんに対する「ハーセプチン」が挙げられます。

HER2陽性乳がんとは、HER2タンパクが乳がんのがん細胞にたくさん出ている乳がんのことを言います。
研究によって、がん細胞の増殖にはHER2タンパクが関係していることが分かっており、HER2の働きを抑える分子標的治療薬が有効という可能性があります。

分子標的治療薬が登場するまでには、HER2陽性乳がんは、とても再発リスクが高い乳がんでした。
しかし、分子標的治療薬によって再発リスクは大きく改善されたのです。

心血管疾患(CVD)とは?

心血管疾患(CVD=Cardiovascular disease)とは、心臓や血管など循環器の疾患です。主に

  • 心臓病
  • 血管疾患

が挙げられます。
実は、乳がんとCVDには共通した、発症のリスクを高める要因があることをご存じですか?
その要因には

  • 閉経後の肥満
  • 食生活の乱れ
  • 家系(遺伝子)

があります 。

そして前述のとおり、分子標的治療薬や化学療法薬を投与する治療では、乳がん患者がCVDリスクを高めることがあるとの報告がなされています。

例1) HER2標的治療

HER2標的治療は、HER2陽性乳がんに効果を発揮するが、その反面、心機能を低下させてしまう恐れがある。

例2) アントラサイクリン系薬剤

化学療法に用いられるアントラサイクリン系薬剤は、心臓のリズムの異常を引き起こし、不整脈につながる可能性がある。

また、化学療法や分子標的治療だけでなく、放射線治療も動脈閉塞や冠動脈疾患といった、心疾患を引き起こすことがある、とAHAは報告しています。

これらは、まだまだ研究の余地があるものの、いずれにせよ乳がん治療がCVD――心臓や血管の疾患につながる可能性がある、ということだけは知っておかなくてはいけないでしょう。

乳がん治療からCVDのリスクを下げるためには?

ここまで、乳がん治療がCVDのリスクを高める可能性があることをご説明してきました。
では、そのリスクを減少させるには、どのような方法があるのでしょうか?

  • 乳がん治療を行う患者さんにリスクを説明する
  • 治療を受ける側はセルフケアを行う

乳がん治療を行う患者さんにリスクを説明する

まずは医療機関から、これから乳がん治療を行う患者さんに、乳がん治療を通じて心臓や血管の疾患を引き起こすリスクについて、しっかり説明しておくべきでしょう。

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これは決して、乳がん患者さんを不安に陥れるためでも、ましてや乳がん治療をやめさせるためでもありません。

乳がん患者さんは、こうした治療におけるリスクを知っておくべきであり、説明を受けたうえで納得し、治療を受けてもらいたいからです。

治療を受ける側はセルフケアを行う

CVDのリスクを減少させるために乳がんの患者さん、つまり治療を受ける側にもできることがあります。

先に、乳がんとCVDには共通した、発症のリスクを高める要因があることをご説明しました。
そしてその多くは、実はセルフケアによって抑えることができるものなのです。

  • 適した運動
  • バランスの取れた食事
  • 肥満の解消
  • 血圧やコレステロール値の維持
  • 血糖値のコントロール
  • 禁煙

など 。
乳がん患者さんにとっては、日常生活から健康を管理することこそが、心臓や血管の疾患を抑え、かつ乳がん治療の効果を最大限にする方法なのかもしれません。

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